Project Details
Description
本年度は計5回の研究会を行った。前年度までの議論の成果を踏まえ,都市・建築計画分野の研究者(前田・中島・佃・井本)がそれぞれの実践的研究の現場において「価値の公正な記述」を実装した。実装のフィールドは,再開発に揺れる東京の下町(中島),災害に脆弱な京都の密集市街地(前田),国の法・制度の外に置かれたケニアのスラム(井本),高齢の被災者が入居した共助型災害公営住宅(佃)であり,それぞれ住民による共同的な住環境管理が行われており,そこに各研究者が住民の活動を支援するなど実践面で関わっている。それぞれのフィールドの文脈を踏まえ,「重層性」(multiplicity,同じ対象を複数の主体が異なるレベルで書く)と「再帰性」(reflectivity,書かれたものを顧みながら自己や他者に対する認識を深める)を含んだ記述を行う方法を検討し,そこに木村(文化人類学),宮本(社会心理学)が参加し,記述の方法について検証しながら進めた。また,2024年3月29日にはセミオープン形式の研究会「越境する実践知にむけてー現場の公正な記述をめぐる建築・都市,社会心理学,文化人類学の対話」を京都大学で開催し,本プロジェクトの関心の所在と問題意識の共有,記述実践の報告を行うとともに,ゲストとして招いた3名の研究者(まちづくり,都市形成史,環境社会学)からコメントをいただき,討論を行った。特に,「理念的な正しさ」と「実質的な正しさ」の齟齬を含めどのように記述するか,言葉以外(写真,絵,図面等)の記述形式やそれがアクターとなる可能性,重層性や再帰性を含んだ記述が公正さを導く可能性とそのような場を担保する必要性といった観点から議論が深まり,今後の記述実践の課題がより明確となった。
| Status | Active |
|---|---|
| Effective start/end date | 1/04/21 → … |
Funding
- 日本学術振興会: ¥8,320,000.00