プロジェクトの詳細
内容の説明
我々は,成人吃音当事者を対象とした聴性脳幹反応(Auditory brainstem response: ABR)検査を行い,吃音当事者は流暢者に比べて,ABR検査での聴覚伝導I-V波間の潜時において左右の耳の差が大きいという結果を報告した。会話時,ヒトは自身の声を聴きながら話し,つまりモニタリングしている。吃音当事者の場合,聴覚伝導に左右差が起こり,話すタイミングのずれが生じる可能性がある。これより吃音の機序をモニタリング障害と考察した。そこで,この聴覚伝導の左右差をなくして自身の声を聴くことができるアプリ「Speech Delay」を開発した。このアプリは,それぞれの当事者のABRでの左右差に対応して個別にカスタマイズしたものである。この左右差を解消するアプリは,遅延聴覚フィードバックシステムを応用したものである。現在,各吃音当事者の方のスマートフォンにインストールされ,アプリを用いた会話訓練を行っている。現在までのところ,吃音中・重度の当事者の方が難しいと訴えた「自由会話」,吃音軽度の方が難しいと訴えた「音読」のいずれにおいても吃音の中核症状である「繰り返し」や「阻止」が減少するなど,非流暢性に改善がみられている。 更に吃音当事者の方から,騒音時に語音が聞き取りにくいとの「聴覚情報処理障害」の訴えがあったことに対応して,音の弁別課題を用いたオドポール課題を作成し,聞き取り時の脳波計測,事象関連電位の計測を行っている。現在までのところ,語音の弁別の誤り数は吃音当事者の方が流暢者より多くなっている。また陰性電位であるN200とそれに続く陽性電位のP300について解析中である。解析が終わり次第,語音弁別の課題を作成し,介入訓練を行っていきたいと考えている。
| ステータス | アクティブ |
|---|---|
| 有効開始/終了日 | 1/04/20 → … |
資金調達
- 日本学術振興会: ¥4,420,000