プロジェクトの詳細
内容の説明
本研究は活物質膜が活物質とバインダーからなる複合構造であることに着目し,電極に損傷が生じるまでの繰返し数が百万回を超える低い応力を繰返し与えたときのミリメートルオーダの電極の変形とマイクロメートルオーダの微視的な疲労損傷の過程を関連付ける数理モデルの構築を目指している.2020年度に実施したこれまでの疲労試験データの精査と試験方法の再検討を踏まえて,2021年度は単軸引張による疲労試験と荷重保持試験を実施した.引張疲労試験では試験片の構造を支えるバインダーの巨視的な破断のクライテリオンを調べるために,種々の応力振幅を与えたときの応力ひずみ線図の変化を調べた.荷重保持試験では一定の引張荷重を与えたときにバインダー特有の粘弾性特性によって試験片にクリープ変形を生じるが,その粘性係数とひずみ時間線図を調べた.ここで,これら二つの試験において,試験片のバインダーの濃度を種々に変えた.引張疲労試験の結果から,応力ひずみ線図はループを描いた.このことから,繰り返し荷重を与えると試験片はエネルギー散逸を起こし,そのエネルギーが累積すると試験片は巨視的な破断に至るようであった.一般的な材料と同じく,応力振幅の増加に伴って散逸エネルギーおよび累積散逸エネルギーは増加した.これらの結果を用いて試験片のS-N線図を予測したところ,前年度までに取得した平面曲げ疲労試験の結果と良い一致を示した.また,応力振幅が下限界値以下になると散逸エネルギーが急激に減少し,S-N線図に描画した予測線はほぼ横ばいとなった.すなわち,低~高サイクルの疲労はエネルギー散逸によって生じること,ならびに超高サイクルにおける疲労は応力振幅が下限界値を下回ったときの疲労であると定義できることがわかった.なお,荷重保持試験の結果から,本研究の範囲内では試験片のクリープ変形が疲労試験に与える影響は小さく,無視できることがわかった.
| ステータス | アクティブ |
|---|---|
| 有効開始/終了日 | 1/04/19 → … |
資金調達
- 日本学術振興会: ¥4,290,000